◆おいしい水を ”食べる”◆ 社団法人 倫理研究所「新世 Sinsei」 12月号 |
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福島県耶麻郡山都町。静かな山の都へ、 「湧き水で食べるそば」と訪ねた。 寒暖の差が大きい気候と、こんこんと湧き続ける湧水が、そばを更においしくさせている。 飯豊連峰を控え、清流宮古川が流れる山都町宮古には、13軒のそば屋が集まる。雪深く、土地もやせていて、もともと米が作れないこの地では、昔からそば作りが盛んだった。 |
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「遠いところをよく来らったなし」 築100年以上の民家を店として利用している「いしいのそば」で、恵の水を実感する。そばを、湧き水だけで食べる「水そば」があるのだ。そばは自家製。そば粉をこねるのも湧き水を使う。 店主の石井民衛さんは、そばを打ち、客から注文をとり、お椀を運び・・・・今年80歳になるとは思えないほど、かいがいしく店内を動き回る。民衛さんのモノゴシはとても柔らかい。が、作るそばにはコシがある。そば粉100パーセントの、噛みごたえのあるそば。北海道や九州からもこのそばを食べに来るという。 どこまでも続く山々と同じように、いつまでも続く暖かさと安心感が、宮古には残っている。 |
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「水とそばの配分が、そば作りで一番難しいところ」と語る石井民衛さん。大正12年生まれの80歳。 店が忙しくなるのは、春の雪解けの季節、帰省客でにぎわうお盆、そして新そばが出る10月下旬だそうだ。 息子さんが埼玉県越谷市で支店を出している。 |
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